眼瞼疾患

眼瞼疾患(まぶたの病気)について

まぶたに起こる代表的な疾患には、ものもらい(麦粒腫)、まぶたがたるむ眼瞼下垂、逆さまつ毛(眼瞼内反)などがあります。

ものもらい(麦粒腫)

皮膚や粘膜に常在している黄色ブドウ球菌などが、まぶたの縁にあるマイボーム腺やまつ毛の根元に感染して炎症を起こしている状態です。主な症状は、まぶたの赤みや腫れ、かゆみ、まばたきした時の痛みなどです。睡眠不足や風邪などで免疫力が低下していると感染を起こしやすく、化膿して強い痛みや腫れを起こすこともあります。
治療は、抗生物質の点眼薬や軟膏、内服薬などを症状や状態に合わせて使用します。化膿している場合には、切開して膿を排出させる治療を行うこともあります。適切な治療により数日で症状が改善に向かいますが、医師が治ったと判断するまでしっかり治療を続けないと悪化して治療が難しくなることがあります。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

麦粒腫と似ていますが、異なる疾患です。霰粒腫では、マイボーム腺が閉塞してまぶたの中に分泌物がたまり、それが塊になります。触れるとしこりとして感じられ、主な症状としてまぶたの腫れや異物感を起こします。痛みを起こすことはほとんどありませんが、細菌感染を起こす急性霰粒腫では痛みを生じることがあります。
しこりが小さい場合には、自然治癒することがありますので経過を観察します。細菌感染して急性霰粒腫を起こしている場合には、抗生物質やステロイドによって炎症を解消する治療を行います。しこりが大きい場合には、切開してしこりを取り出す必要があります。なお、しこりの除去は外来で受けられます。

眼瞼下垂

まぶたは眼瞼挙筋が持ち上げることで開くことができます。眼瞼下垂は、眼瞼挙筋の末端にある腱膜がゆるんでまぶたをうまく持ち上げることができなくなっている状態です。視界がまぶたで遮られるため無意識に力を込めてしまい、眼精疲労、頭痛・肩こりなどを発症しやすくなります。また、普通にしていても険しい表情をしていると誤解されたり、眉を上げて額に深いシワができてしまう原因にもなります。
加齢による筋肉のゆるみで生じることが多いのですが、長年のハードコンタクトレンズ使用、外傷、先天的な要因など、さまざまな原因で生じることがあります。
眼瞼下垂は手術でしか治すことはできないため、手術をご希望になる場合には、提携している医療機関をご紹介して適切な治療緒スムーズに受けていただけるようにしています。

眼瞼痙攣

主にまぶたを閉じる眼輪筋が過度に働いてしまうことで生じる疾患です。まばたきが増える、軽度の痙攣、目が開けにくいと行った症状を起こし、進行すると意思に関係なくまぶたが閉じてしまい、目を開けることができなくなるケースもあります。両目に起こることが多いのですが、症状に左右差がある場合もあります。片目のまぶただけ意思に反してピクピクする場合は、眼瞼ミオキミアや片側顔面痙攣が疑われます。
眼瞼痙攣が悪化するとまぶたを開けられなくなるため、目の機能に問題がなくても失明状態になってしまいます。眼瞼痙攣はボツリヌス注射で過剰な神経の伝達を妨げることで改善が可能です。ボツリヌス注射の効果は約3か月程度持続するため、効果が切れて再度症状が現れはじめたタイミングで再度の治療を行います。ボツリヌス注射は多汗症の治療、シワの改善やエラを細くするなど美容医療で長く使われてきた治療法です。

眼瞼痙攣のボツリヌス注射についてはこちら

眼瞼内反(逆さまつ毛)

まぶたの形状の異常などによって、まつ毛が眼球側に向かって生えてしまい、眼球を刺激している状態です。痛みや充血などの症状を起こし、角膜などを傷付けて視力障害につながる可能性もあります。乳幼児はまぶたの形状がほとんど正常でも皮膚や脂肪などによって下のまつ毛の眼瞼内反を起こすことがあります。
まつ毛を抜くことで一時的に症状を解消できますが、毛根が残っているため、再び生えてきたまつ毛によって再発を繰り返します。こうしたことから根本的な治療には手術が必要になります。乳幼児の眼瞼内反は成長につれて自然に治ることが多いため、経過観察して7歳を超えても改善しない場合に手術を検討します。なお、眼瞼内反の手術をご希望になる場合には、連携している医療機関をご紹介しています。

TOPへ